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ある晩。 タクシー運転手の呉涛開(曾志偉:エリック・ツァン)は客を乗せたまま タクシーごと川へ転落し行方不明となる。 同乗していた蘇丹という名の女(莫文蔚:カレン・モク)は一命は取りとめたものの 足に大怪我をしていた。 夫の死にショックを受けながらも蘇丹の入院費の支払いに困った凡麗 (蒋雯麗:チァン・ウェンリー)は彼女に怪我が治るまで自宅へ来るよう持ちかける。 こうして夫を亡くした女とその息子・小川(檀健次 :タン・ジアンチー)、 そして歩くこともままならないワケありそうな女の共同生活が始まる・・・。 今日の今日までタイトルは「彼岸」だと思っていた。 どうして「彼岸」なのだろう・・・?と考えていてよくよく見たら「秘岸」だったことに気づく。 なるほどそれなら納得だ。 それにしてもなんとも不思議な物語だった。 どこからどこまでが真実なのか? 誰の話が真実なのか? 夫が行方不明になると同時に子どもを身ごもっていることに気づく妻。 香港からやってきた謎の男(陳奕迅:イーソン・チャン)に共同で医療所をやろうと 持ちかけられすんなり了解するのも不思議だし、 いつの間にやらその男に金の工面までさせてケロリとしている。 夫が行方不明になると実に素早く死亡保険の手続きも怠らない。 つつましい女と悪女。 2つの顔をチラつかせながら可愛らしい顔の凡麗の心の内はわからない。 一方のカレン・モク演じる蘇丹。 行方不明の呉涛開とは恋仲で自分を夜の商売から足を洗わせるために 一緒に事故を仕組んだと言い張る。 呉涛開の息子の小川はそんな彼女の話を「真実味に欠ける」と取り合わないが 事実は今となっては彼女だけが知る。 そんな小川は事故によって大きな傷を残す蘇丹の足にいとおしげに花の絵を描く。 小川が蘇丹に惹かれていたことだけはかろうじてわかる。 しかしついに最後まで女2人の心の中は読み取ることができなかった。 張一白監督の故郷である重慶のどこかのどかな風景と不思議なストーリー。 妙にマッチしているような不調和音が聞こえるようなある意味味わいのある物語だった。 <大阪アジアン映画祭2009にて鑑賞> 香港・中国合作
by sabunorihk
| 2009-03-20 07:49
| 香港映画 は行
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