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面白くて仕方がない! ・・・という作品では全くない。 実は私は途中で何度か記憶を失った。(笑) だが本作を否定することなどできはしない。 それどころか侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の健在ぶりを突きつけられ その堂々たる存在感に思わずひれ伏してしまうのだ。 全編に渡りほぼBGMはなく、セリフすらほとんどない。 妻夫木くん、吹き替えかしら?などという事前の心配など吹き飛んだ。 だってほとんどしゃべらないんだもの。(笑) 字幕担当者も相当楽だったのでは?などと下世話なことまで考えてしまう。 セリフが少ないせいで登場人物の背景も不明瞭で、鑑賞後に調べて初めて 判明する事柄もポツポツと。 しかしぼんやりとした個々の背景のままで進んでいく物語というのも 本作においては悪くない。 いやむしろそれで良いのではないかという気にさせる。 規則的なリズムで流れ不吉な予感を感じさせる太鼓音・・・ きわめて最小限の音に対し、スクリーンに広がる息を飲むほどの 壮大な映像美に心を奪われる。 撮影はもちろん李屏賓(リー・ピンビン)が担当。 この作品は絶対に大きなスクリーンで鑑賞するべき! 個人的にお気に入りなのは謎の道士のエピソート。 彼が人を象ったちぎり絵を水の中に放つ。 水面でまるで魂が宿ったかの如く舞うように揺れ続けるちぎり絵。 それにより田李安(張震:チャン・チェン)の愛人が体中から煙を放ち 苦しみもがくという妖しくも美しい展開も忘れられない。 「悲情城市」のタイトルシーンを思い出した。 タイトルシーンで侯孝賢監督作品とわからせてしまうとは恐るべし。 黒衣の刺客 オフィシャルサイト 台湾・香港・中国・フランス合作
by sabunorihk
| 2015-09-22 17:40
| 合作映画
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