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1960年代の台湾・十分。 中学3年生の少年遠(王晶文:ワン・ジンウエン)と1つ年下の少女雲 (辛樹芬:シン・シューフェン)は一緒に通学する幼なじみ。 翌年中学を卒業すると遠は台北へ出て働きながら夜間高校へ通う。 その後を追うように1年後雲もまた台北の洋裁店で働くことになる。 毎年お盆には土産を手に揃って帰省し、互いになくてはならない存在になっていく。 しかしそんなある日遠のもとに兵役の通知が届く。 離れ離れになった2人は手紙のやりとりを続けるが、あるときから雲に宛てた手紙が 宛先不明で遠のもとに戻ってくるようになる・・・。 真っ暗なスクリーンの中央に小さな光のようなものが見える。 それが少しづつ大きくなっていき、光のように見えたのは緑が生い茂る山の風景で トンネルを抜ける列車から見た景色だということがわかる。 同侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督作「悲情城市」も同様だが、 本作もまたこのファーストシーンで心を鷲掴みされる。 始まって数分で「あ、この作品大好きだ」と確信してしまう。 ゴトゴトと走る列車の中で寄り添うでもなく、離れるでもなく立っている少年と少女。 2人は制服姿だが、特に少年のボーイ・スカウトのような半ズボンの制服が ちょっと大人びつつある少年の顔とどこか不釣合いで印象に残る。 彼らが下車するのは十分駅。 今年の夏訪れた場所だけにスクリーンに映し出される景色に見入ってしまう。 線路のすぐ脇に並ぶ店々。 この当時の十分の駅周辺は今のように観光地化されていない。 並ぶのは食料を扱う店や雑貨屋といった住人たちのための店ばかりだ。 線路の上を歩きながら2人は更に山道を登りすっかり日が暮れる頃家にたどり着く。 子供たちが薄暗闇の中走り回って遊び、母親は夕飯の支度にとりかかる。 年寄りは階段で夕涼みし、野外映画のスクリーンが風になびく。 異国でありながら、どこか懐かしさで胸がいっぱいになる風景たち。 遠が友人とともに台北で住むアパート、雲が働く洋裁店の仕事部屋も印象に残る。 遠のアパートは映画館の一角にあり、部屋の隅では先輩が劇場看板の イラストを描いているのだ。 同じく侯孝賢監督作「川の流れに草は青々」でも主人公は元映画館に 住んでいたことを思い出す。 一方雲の仕事場は半地下になっており外の階段を下りながら 身をかがめて窓を覗き込むと仕事場が見える・・・という作り。 ここで先輩女性に仕事を習い、やがて遠にシャツを仕立ててプレゼントする雲。 「ちょっと大きい」と言われサイズの大きさをその場で直しにかかる健気さがいじらしい。 全編に渡り2人の間の会話は最小限だ。 それでも遠が雲を思いやり、雲が遠を頼る様子は手に取るようにわかる。 彼らは幼なじみで気づいたときにはお互いがそばにいて、 その関係はこれからもずっと続いていくと信じて疑わなかったのだ。 だけど雲は兵役から戻る遠を待ち続けることは出来なかった。 彼女はきっと誰かがそばにいてくれなければ駄目なのかもしれない。 弟からの手紙で雲が結婚したと知った日、遠はベッドで泣く。 声を殺すことなく号泣するのだ。 20年前に観たときも、そして今回もやはりこのシーンが強烈に胸に焼きつく。 兵役での訓練が厳しくてでもなく、誰か身内が亡くなったでもなく 去っていった女の子を思い泣くのだ。 その姿にどこか新鮮な気持ちを覚えてしまう私は何かを遠い昔に 置き忘れてしまったのだろうか。 1987年 台湾映画<鉄道映画特集「鉄道のある風景」にて鑑賞>
by sabunorihk
| 2010-10-20 08:26
| 台湾映画
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