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3年後に別の土地で見つかった息子は両親のことを覚えていなかった。 涙涙の鑑賞になると思いきや、意外にもそうはならなかった。 現在の中国の問題を切り取った一筋縄ではいかないエピソードが多すぎて。 年間約20万件もの幼児誘拐があるという中国。 それに一人っ子政策が大きく影響しているというのは誰もが想像できること。 誘拐されたポンポンの実の両親ティエン(黄渤:ホァン・ボー)とジュアン (郝蕾:ハオ・レイ)の2人はすでに離婚しているが、田舎から都会へ 移り暮らし仕事で成功した妻と仕事で挫折を味わった夫という設定だという。 夫婦の間に出来てしまった格差は離婚の大きな要因だったのだと推測できる。 一方育ての親となるホンチン(趙薇:ヴィッキー・チャオ)からは 教育を十分に受けていないがゆえの悲劇を感じる。 「自分が不妊症だから夫が深圳で別の女に産ませた子」という説明を鵜呑みにし ポンポン(更に妹となる女の子もいる)を必死に育てる。 夫が死ぬ間際に残した言葉を聞くまで全く夫の言動を疑うこともなく。 (しかし実際にはどうだったのかは彼女のみが知ることだが) 子供にせよ不妊症にせよ、田舎の農村で暮らす彼女にとって夫の言葉は 全て真実として受け入れられていたに違いない。 懸賞金を騙し取ろうとする詐欺が次々と現れること。 他にも誘拐を仕事としていて捕まった人物たちを訪ねて刑務所で話を聞くと 「自分は大人の女性専門で子供の誘拐はやらない。そこまで悪人じゃないよ」 とイケしゃあしゃあと言い放つ愚か者。 あいつらよりはマシ、あいつらほど悪くはない。 意味のない比較で自分を正当化する姿勢は私が最も憎むものだ。 そんな中でティエンがポツリとつぶやく言葉が胸をつく。 「詐欺だとしても興味を示してくれる人間がいるうちはよかった。 時間が経つと詐欺たちさえ寄ってこなくなる」 どんな事件の被害者であっても「風化」こそが一番辛いのだ。 いなくなった子供を探す会の存在はティエンたちの大きな支えになる。 会で唯一子供が発見されるティエンたちと対照的な会のリーダー、ハン (張譯:チャン・イー)夫婦のその後の決断もまた印象的だ。 子供はどこかで生きていると信じながらも前に進むために新たな生命を 夫婦で育てていこうと決めるハン。 しかし前に進むためには行方不明の子供の死亡届の申請が必要になる。 ハンのやり場のない怒りと悲しみは底知れない。 ポンポン発見後も子供を探す会での活動への参加を続けるティエンたち。 「ここでやめたら自分たちだけよければそれでいいのかと思われてしまう」 というジュアンの言葉は私を複雑な気持ちにさせる。 それはジュアンの思い違いかもしれないが、あるいは真実であるかもしれない。 更に驚いたのは会のビラ配りにポンポンまで駆り出したこと。 彼自身がぜひやらせてくれと言ったとは思えない。 大人の都合で人生を翻弄されるポンポンが不憫で仕方ない。 そう。 そもそもこの作品に子供の意志の尊重などどこにも描かれてはいない。 大人の側からのみ描かれた物語なのだ。 もしかしたら陳可辛(ピーター・チャン)監督はあえて大人の都合だけを 描いたのかもしれない。 そう考えるしかないほど潔く子供の気持ちを反映させていない。 ポンポンは誘拐されてどれだけ泣いた後にホンチンを「お母さん」と 呼んだのだろう。 そして実の両親のもとへ戻り、どれだけの時間を過ごした後に ティエンを「お父さん」と心から呼ぶことができたのだろう。 後半ではポンポンを失った加害者側の妻ホンチンを中心に物語が進む。 ポンポンについては実の両親に引き取られたことであっけないほど 執着を断ち切るホンチンの姿に戸惑う。 だが捨て子だったと確信するもう1人の子供については諦めることが出来ない。 深圳へと向かったホンチンは偶然知り合う弁護士カオ (佟大為:トン・ダーウェイ)と二人三脚で娘を取り戻すために動き始める。 趙薇と佟大為のコンビといえば「レッド・クリフ」を思い出す。 佟大為は人の良い役柄が多いような印象だが、本作でも思いだけは強いが 右も左もわからない深圳で戸惑うホンチンに手を差しのべるキーパーソンだ。 しかし彼もまた仕事での挫折、母親の介護とさまざまな問題を抱えている。 ラストに映し出されるこの作品のベースとなった実際の事件の当事者たちに キャスト陣が会いに行く件(くだり)は不要だと思う。 ホンチン役をすっぴんで演じた(なんてことを大々的に宣伝するのは 全くもってナンセンスだ)趙薇への配慮じゃないの?と思うくらい 化粧バッチリの趙薇の姿ばかりが目に焼きついている。 物語の苦いエンディングの余韻と実際の映像の中で手を取り合う両者 (被害者と加害者)のギャップに頭が混乱してしまう。 観応えある力作なだけにその点が実に残念だった。 それにしても・・・ティエンを演じる黄渤の役者ぶりには舌を巻く。 「西遊記 はじまりのはじまり」での脱力系孫悟空と同一人物とは思えない。 彼の役者としての振り幅の大きさを堪能できた作品でもあった。 最愛の子 オフィシャルサイト 香港・中国合作
by sabunorihk
| 2016-02-11 10:53
| 香港映画 さ行
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