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![]() 中国・春秋時代晋の国。 屠岸賈(王学圻:ワン・シュエチー)の陰謀により王殺害の罪を着せられた趙氏一族は 生まれたばかりの荘姫(范冰冰:ファン・ビンビン)の子供を残し皆殺しにされる。 出産を手伝った医師の程嬰(葛優:グォ・ヨウ)は生き残ったその子供と間違われて 屠岸賈に殺害されたわが子程勃として荘姫の子供を育てる決意をする・・・。 少しばかり題材が古めかしいと思ったら、司馬遷が著した中国の歴史書 「史記」に記された物語で何度も京劇などで舞台化されたものだという。 生き残った趙氏一族の子供を程嬰が育てることになるまでの展開が 思いの他丁寧に時間をかけて描かれていた。 少しばかりもたつき感も感じられたものの、実際のところ興味深かったのは この前半部分であり、その後程勃が成長していく物語はそれほど魅力を感じなかった。 考えてみれば何も知らずに成長した子供がある日突然父親(だと思っていた人物)から 自分の武術の師であり、義理の父子の契りを交わした男(屠岸賈)こそが 自分の本当の両親や親族を皆殺しにした張本人だ!さぁ仇を討て! と言われたところでその相手に対しいきなり憎しみを抱くことなどできるだろうか。 そもそもこの程勃は父親として自分を育ててくれた武術も嗜まない 程嬰のことをどこか見下しているような様子が垣間見えるのだから尚更だ。 程嬰という人物の描かれ方がどこか大雑把な印象を受けた。 荘姫から託された子供と間違われて殺された実の子供に対する感情が ぼやけていてこちらに伝わってこない。 死んでしまったわが子のことを「どのみち生き延びることはできなかったのだ」と 言うシーンがある。 もう帰ってこない子供に対する未練を断ち切るための言葉だったのかもしれない。 だがどうしてもその言葉の底にあるはずの息子への尽きせぬ愛情や無念の思いを 感じることができなかった。 更に託された子供を育てた後に事実を話し、自分の妻や子供の仇をとらせようという 程嬰の思いに至っては単なるエゴとしか考えられない。 そして何よりも理解できなかったのは彼が何故自分の子を屠岸賈に 手渡してしまったのか?ということ。 張豊毅(チャン・フォンイー)、趙文卓(チウ・マンチェク)、黄暁明(ホァン・シャオミン)など お気に入り俳優たちの露出シーンが少なかったのが残念。 主演級である彼らがゲスト出演とはなんとも贅沢なキャスティングだった。 「運命の子」というのはたった1人生き残った趙氏一族の子供ではなく その子供の身代わりとなって死んだ程嬰の実の子のことだと思えてならなかった。 運命の子 オフィシャルサイト ![]() 中国延辺朝鮮族自治州に住むグナム(ハ・ジョンウ)はタクシーの運転手。 妻が韓国へ出稼ぎに行くために作った借金の返済のため、ついに賭博に手を出す。 いつしか妻からの連絡も途絶え、借金返済も困難になったある日 韓国へ渡りある人物を殺せば借金を帳消しにするという話を持ちかけられる。 グナムは借金返済のため、そして妻の行方を追うため韓国行きを決意する・・・。 この作品をお正月一発目の鑑賞作に選んではいけなかった・・・。 暗い・・・ひたすら暗い・・・観終えた劇場からの帰り道思わず無言になってしまった。 冒頭の狂犬病にかかった昔の飼い犬のエピソードを聞いた時点で 「しまった!観るべきじゃなかったかも」と後悔の気持ちがジワジワと・・・。 朝鮮族という存在について本作を観るまでほとんど知らなかった。 彼らは中国籍で、いわゆる在中韓国人や在中北朝鮮人とは違うのだそうだ。 1890年頃から中国の東北地方に移住した韓国人たちを最初こそは歓迎していた 清朝だが、次第に彼らが日本の手先になることを恐れ中国に帰化することを 強制したのが始まりだという。 物語の中でも韓国に渡ったグナムが「朝鮮族か?下手に騒ぎを起こすとまずいぞ」と 言われるシーンなどがあり、その複雑な関係が見え隠れする。 そういった主人公の置かれた設定に対する興味深さはあったものの、 ストーリーはそれほど惹かれるものがなかったのが残念。 キッチリ練りこまれたストーリーというよりは行き当たりばったりというか 深みに欠けるというか・・・。 もっとも途中何度も睡魔に襲われてしまったのであまり大きな声では言えないが。 ラストがまた追い討ちをかけるように辛い。 冒頭の狂犬病の犬のエピソードと主人公の人生が重なりあって 私は小さくため息をひとつついてから席を立った。 哀しき獣 オフィシャルサイト ![]() 「マイケル」と言えば誰を思い浮かべるか? ジャクソン?ムーア?富岡? ノンノン。 絶対ホイでしょう。 チーマン(許冠文:マイケル・ホイ)は売れないタレント。 MTVと契約して何年もたつが仕事があったのはたった1度だけ。 あるときひょんなことから別のテレビ局からお声がかかり契約できることに。 そこでチーマンは現在のMTVとの契約を取り消すために発明マニアの弟 (許冠英:リッキー・ホイ)を巻き込み契約書を盗む作戦を企てる・・・。 しみじみ思った。 やはり私は1970年代~80年代の香港映画が好き。 この作品もあまりのバカバカしさに泣けるほど大爆笑。 強力接着剤まみれになってお尻に便器、手には鏡、足にはバスマット、 鼻にはティッシュをつけてアタフタするマイケル・ホイが愛しいったらありゃしない。 しかし多くの人が感じているように、バカ笑いをしながらも彼の作品からは インテリジェンスの香りが漂う。 本作でも笑いのオブラートに包みつつTV局の契約に縛られ弱い立場のタレントや 売れる番組を制作できなければあっけなく切り捨てられる製作責任者など 香港テレビ業界への風刺をさりげなく描いている。 ホイ兄弟フリークではない私ゆえ、最近知ったのだが 彼らは「ホイ3兄弟」ではなく実は4兄弟だそうで。 (更に一番下には妹もいるという) 長男は許冠文(マイケル)、次男が許冠武(スタンリー)、三男が許冠英(リッキ―)、 そして四男が許冠傑(サミュエル)。 4人の名前を組み合わせると「文武英傑」、 つまり「文武に長けた人物」という意味になるのだという。 次男のスタンリーはそれほど表舞台への露出も多くないため私は馴染みがないのだが 見た目を含めてなんとまぁバラエティに富んだ素敵な兄弟たちなのだろう。 そんな「文武英傑」の「英」が突然消えてしまった。 11月9日に亡くなられたリッキー氏のご冥福をお祈りいたします・・・。 1978年 香港映画 ![]() 紀元前501年の中国。 混乱する国を安定させるため魯の国の君主・定公(姚魯:ヤオ・ルー)は 孔子(周潤發:チョウ・ユンファ)に大司寇の位を授ける。 次々と革新を進める孔子だが弟子の密告がもとで魯の国を追われることとなる。 行くあても定まらぬまま妻子を残し1人国を後にする孔子だが 弟子たちが孔子の後を追いともに魯に戻るまでの10数年の長い旅が始まる・・・。 過ちて改めざるを、これ過ちという。 そうだ、そうだ、孔子の言うとおりだ。 孔子の言葉はとてもわかりやすく、言われてみればその通りと思うものが多い。 こんなふうに孔子の残した言葉を後年弟子たちがまとめた「論語」は 日本人である私たちも昔学校の授業で習ったほど有名だが、 ふと考えてみると孔子という人物についてはほとんど知識がない。 それを知りたくてかなり楽しみにしていた作品だ。 実は2年ほど前、香港旅行中にちょうど香港での劇場公開と重なったので 観てしまおうかと思ったのだが北京語だったため内容理解に自信がなく、鑑賞を断念。 ひたすら日本公開(もしくはDVD発売)を心待ちにしていたのだ。 嗚呼、待てば海路の日和あり。ありがたやありがたや。 私自身は孔子について是非とも知りたいと思い鑑賞したので十分堪能したのだが 人によってはただただ淡々と語られる孔子の人生の物語を退屈と感じただろうか。 孔子の一生を2時間で描くことは難しい。 そのため魯の国を追われ弟子たちとともに各国を転々とする十数年に渡るエピソードは サラリと描かれていたのが残念。 この部分をもっと綿密に描いてくれていたら魯の国に再び戻ることができた時の 孔子たちの喜びもまた重みが感じられたに違いない。 ![]() 「己の欲せざる所、人に施す勿れ」 この言葉を用いて孔子が相手をやんわりと説得してしまうエピソードが好きだ。 柔らかな物腰と高い志で人々を魅了する孔子。 そんな彼の弟子たちの命をかけても師の教えを貫き通す姿にも心打たれる。 歩く足元の氷が割れ次々と水に沈んでいく孔子の書を一番弟子の顔回 (任泉:レン・チュアン)が自らの命と引き換えに水の中から引き上げる。 顔回の亡骸から離れようとせず涙を流す孔子の姿は人間らしさにあふれていた。 孔子から離れ戦に参戦した力自慢の子路が最期の時に師の教えに従い 礼をわきまえ兜を被り正す姿には孔子が発したように「天晴れ!」と心でつぶやいた。 孔子以外にも「言葉」が重みを持つ物語だった。 魯の君主・定公が孔子に諭すように語った 「孔子よ、時にはおろかなふりをすることも必要だ」という言葉に 多くの民を抱え、彼らの人生を預かる君主としての苦渋の決断を知り、 そして衛の君主・霊公の妻で実質的な権力者である南子(周迅:ジョウ・シュン)の 「先生の苦悩を理解する者はおりましても、 その苦悩から体得するものを理解する者はおりません」 という言葉に孔子を誰よりも理解するのは悪女と言われるこの女性ではないか? と驚かされる。 この南子についてはそれほど多く語られてはいないが、 機会があれば是非彼女についても詳しく知ってみたいと思わせる人物だった。 ![]() 孔子の教え オフィシャルサイト ![]() 20世紀初頭の中国。 各地で覇権をめぐり戦が絶えない中、登封市(現河南省鄭州市)にある 少林寺の僧侶たちは生き残った人々を救助していた。 一方傲慢な将軍・候杰(劉徳華:アンディ・ラウ)はその権力を欲しいままにしていたが、 腹心の曹蛮(謝霆鋒ニコラス・ツェー)の裏切りにあい、全てを失ってしまう。 懸賞金のかかったお尋ね者となってしまった候杰は少林寺にかくまわれ、 そこで生活をするうちに出家をし僧侶となる決意をする・・・。 私など単細胞で短気な人間だから 「目には目を」 「救いようのないバカは確実に存在する」 などと考えてしまうワケだが「お前のその考えは明らかに間違っている」と 少林寺の僧侶たちに根性を叩き直された気分だ。 物語の冒頭、権力を盾に傲慢極まりない将軍だった頃の候杰は 血も涙もない実に嫌な人物だった。 そんな徳のない人物に仕える者たちの程度などたかが知れたものだ。 だから腹心の曹蛮が寝返ったところでそれほど驚きもない。 かつて少林寺に逃げ込んだお尋ね者を情け容赦なく殺した候杰だが 自らは静かに死を受け入れる度胸もなく、今度は自分が助けて欲しいと 少林寺に駆け込むのみならず、追ってきた曹蛮をなぜ殺さなかったのかと 僧侶たちに怒りをぶつける下劣さには心底辟易させられた。 それでも人間は変われるのだ。 少林寺で修行を始めてからの候杰の欲や憎しみから解き放たれたその姿に 以前の面影はまるでない。 最愛の一人娘の命を奪った敵、曹蛮に対して敵をとることではなく 彼を正しい道へと導くことを出来るのは自分だけだという思いにまで至った 候杰の姿は凛として美しい。 その思いは最後の最後に曹蛮にも届いたはずだ。 この「やられたらやりかえして終わり」ではなく、 「わが身を投げ出しても相手を正しい道へと導く」という考え方は 特にアジア人の心には深く響くものだと思う。 ![]() ![]() 少林寺の中心となる3人の僧侶の生き様が心に残る。 浄能を演じた呉京(ウー・ジン)のアクションについては言わずもがなだが 浄空を演じた延能(シー・イェンレン)は最近いくつかの作品で印象に残っている 役者だが(特に「葉問」)本作では最期の戦いぶりの壮絶さに惚れた! このヒト、12歳から11年間少林寺に帰依し修行したという経歴を持つという。 今回のジャッキーは緊張が続く物語の中で唯一ホッとできる役どころ。 子供の修行僧たちとの息もピッタリで思わず笑みがこぼれる。 ジャッキーの中華ナベでの豪快な炒め物シーン、好きです。 少林寺の物語とはいうものの、派手な爆破シーンの連続で 一体どこまで破壊すれば気が済むのだ!?と私が予想していた(希望していた?) ストーリーとは違っていたのだが、陳木勝(ベニー・チャン)監督だからこうなるか。(笑) 新少林寺/SHAOLIN オフィシャルサイト
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